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●●● vol.13 「都市伝説 」 ●●● 先日、青森市内で行われた忘年会場でのこと。いつもチームを組ませてもらっているカメラマンS氏が、ふと言った。 「実は、僕の家の向かいに住んでいる親戚のおばあちゃんが、杉沢村出身なんですよ。」 「エーッ!杉沢村って例の場所でしょ?じゃ、Sさんも実はあの村で生まれたとか?」 「ひょっとして、あの事件の秘密を知ってたりして?」 「そう言えば、テレビ局の人を案内してた村人って、Sさんに似てるよナー」。みんな面白がって、てんでに突っ込みを入れるので、話はどんどん大きくなっていく。 会場のホテルからの差し入れで、ボジョレーヌーボーをたらふく飲んだ私達は、いつにも増してハイテンションなのである。 「勘弁して下さいヨ〜。僕は、生まれた時から青森空港のそばっスよ。ほら前に、新山千春と、ご近所だって話したじゃないですかァ」。 茶髪のサラサラヘア、氷川きよしそっくりのルックスの彼は、撮影に行く先々で「ネェ。『やだねったら、やだねェ』って歌ってみて」と頼まれるらしい。 そんな今風の風貌の彼と、おどろおどろしい杉沢村伝説は、全く結びつかない。だが、その夜の二次会の店では「杉沢村出身のSさんは、顔にモザイクをかけてもらって、テレビの取材に答えていたらしい」というエピソードが、まことしやかに伝えられていた。 そのことがあって少ししてから、たまたま「都市の穴」(双葉社 木原浩勝・市ヶ谷ハジメ・岡島正晃著)という本を読んだ。 これは、誰もが一度は聞いたことがあるけど、真偽のほどはわからないというような、いわゆる都市伝説を集めた本である。 たとえば、「東京ディズニーランドには、一般客にはわからない扉があって、そこは巨大な地下道に続き、スタッフが迅速に移動するために利用している」「病院では死体を洗うバイトがあるらしい」「口裂け女2001」などといった話である。 東京で雑誌の仕事をしていた頃、海外に出張する女性編集者の間では、「洋服屋の試着室には要注意」という暗黙の了解があった。 ある編集者の知り合いのそのまた友人が、ハネムーンで中国に行った時のこと。何分たっても試着室から出てこない妻を不信に思った夫が、店の人に尋ねたところ、「今日は、試着室には誰も入っていない」の一点張り。「そんなはずはないだろう」と、カーテンを開けると、試着室はモヌケのカラ。後日、試着室には秘密のドアがあり、妻は闇の組織にさらわれたことが発覚したと言う。 それを聞いた当時の私は、恐ろしさで震え上がったものだが、その本を読んだら、同じような話が載っていた。となれば、あれも一種の都市伝説に過ぎなかったのかも知れない。 こうした話に共通しているのは、「兄の友人が話していた」とか、「親戚が知り合いから聞いた話だけど」というふうに、体験者と語り手が、きわめて間接的な関係にあることだろう。 語り手=体験者であるケースは、まず聞いたことがない。 それともう一つは、「もし、こうだったら怖いな」、「ああだったら面白いのに」というふうに、人々が心の隅に抱く恐怖や願望の「ツボ」に程よくはまっていることだ。そのことで、より真実味が増し、一種のコニュニケーションツールとして、伝播力をもつのではないかと思う。 ところで、「津軽版都市伝説」なんてのも、かなり存在するらしい。あなたが、知っている都市伝説はどんな話ですか? ◆ 終 ◆
●須藤ゆかエッセイ ばっくなんばー 『犬も歩けば・・・』 ↓ここで選択↓ Vol.38「地場のヒット商品」 Vol.37「ご案内」 Vol.36「猪突猛進型人生」 Vol.35「あふれた水がめ」 Vol.34「大阪の七不思議(後編)」 Vol.33「大阪の七不思議(前編)」 Vol.32「毛のおつゆ」 Vol.31「てんてこ舞い」 Vol.30(番外編)ロックミュージシャンNONさんインタビュー」 Vol.29「レクイエム」 Vol.28「おれおれ」 Vol.27「サルぼり隊は、今日も行く」 Vol.26「街は鏡のごとく」 Vol.25「冷夏の楽しみ方」 Vol.24「みのも○た後遺症」 Vol.23「仕掛け花火」 Vol.22「七夕の夜に・・・。」 Vol.21「暮し方はその人を語る?」 Vol.20「お犬様が通る」 Vol.19「スローな暮らし(後編)」 Vol.18「スローな暮らし(前編)」 Vol.17「28才の女性杜氏 横沢裕子さんインタビュー」 Vol.16「次にくるモノ」 Vol.15「別れの形」 Vol.14「「何かヘン」という感覚」 Vol.13「あんなオシゴト、こんなオシゴト(後編)」 Vol.13「あんなオシゴト、こんなオシゴト(前編)」 Vol.12「アジアのなかで」 Vol.11「戦士の休息」 Vol.10「雪国はつらいですか?」 Vol.8「笑うカドには・・。」 Vol.7「我が家の地産地消運動」 Vol.6「リメイクはお好き?」 Vol.5「お月さん、まんまる(下編)」 Vol.5「お月さん、まんまる(上編)」 Vol.4「日本一ですぞ」 Vol.3「太陽を運んできた人」 Vol.2「ねぶたの涙」 Vol.1「嗚呼!ダイエット」 『津軽へのラブレター』 ↓ここで選択↓ Vol.27「アートの青空市場」 Vol.26「タイ料理教室で」 Vol.25「通販カタログ斜め読み」 Vol.24「エコロジーとパンジーの関係」 Vol.23「ブナの実一升、金一升」 Vol.22「理数系のオトコと煙突の話」 Vol.21「子どもの物差し」 Vol.20「さくら さくら」 Vol.19「津軽の音色」 Vol.18「白い宝物」 Vol.17「魅惑の旧正マッコ市」 Vol.16「金太郎飴の街」 Vol.15「年賀状考」 Vol.14「二〇〇二年の子どもたち」 Vol.13「都市伝説」 Vol.12「『プチ湯治』願望」 Vol.11「食べ物の履歴書」 Vol.10「女の舞台裏」 Vol.9「迷えるガーデナー」 Vol.8「津軽の味っこ」 Vol.7「子連れでスキップ」 Vol.6「風を聴く」 Vol.5「街の匂い」 Vol.4「船長さんの椅子」 Vol.3「祭りのゆくえ」 Vol.2「津軽弁騒動記-後編-」 Vol.1「津軽弁騒動記-前編-」