アナグラにっき。
「長月・先勝」(晴天)
殿様が我が家へおいでになった。バッタだけど。夏の陣で精も根も使い果たしたのか、網戸の上に影を伸ばしたまま動かない。「殿、秋の陣はいかがいたしましょう」「うむ、そちに全て任す。よきに計らえ」「ははっ」「・・・余はもう長くは持たぬ」「殿!なにを仰いますか!」「よいか山口、余の亡き後は影武者を立てよ。決して気取られてはならぬぞ。巧く立ち回るのだぞ」「ううっ、殿・・・山口、命に代えても殿のお言葉をお守りいたします!」「うむ。・・・空が、高くなったのう」・・・なんてアテレコごっこを、ひとしきり楽しむ。んで、夜には玄関で閻魔様に会ったの。コオロギだけど。こっちは速やかに表にたたき出す。呑気にアテレコなんぞする余裕なし。だって見た目があまりにも凶悪で。
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