vol.4
「船長さんの椅子」
その3

インタビューの後、船舶操縦士の方に、船内を案内してもらった。
食堂に並んだ椅子の一つを指差し、「これは、船長の椅子です」と、説明する。「この船においては、たとえ大統領であっても、船長の椅子に座ることは許されないのです」と言う言葉に、ハッとさせられた。
食事の際の着席場所一つにしても、立場が明確に位置付けられている。
船内のルールや秩序は、推して知るべしだ。
大自然を相手に世界の海原を航海する日々は、死と隣り合わせの場面も少なくないだろう。船長の椅子は、人の命をあずかる責任と、海の男達の暗黙の取り決めを象徴しているように思えた。
「国境のない海の世界に魅力を感じ、船乗りの道を選んだ」と話してくれた船長さん。
取材の翌日、「パラダ号」は、帆に青森の風をいっぱいに受け、次の会場となる八戸港ポートアイランドへ向かって出航した。(終)


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