vol.11
「食べ物の履歴書」
その2
ところで、自給自足がベースの夫の実家では、献立の大半は、畑の野菜類と豆類、山菜の保存食、それに自家製の漬物などで構成されている。ある時、味噌があまりおいしいので、どこのメーカーのものかと尋ねたことがある。すると、地域の加工センターに大豆を持参すると、味噌に加工してくれるシステムがあって、そこで作ったものだという。添加物を使っていないので、日保ちがしないのが残念だが、大豆本来の甘さが際立って何の料理にもよく合う。以前は、牛や豚、にわとりなども飼っていたので、店で買うのは本当にわずかな物だけだったと話していた。
「単に、ジェンコねはんで、買いたくても買えねだげダォン」と言っているが、もしかして、こうした食こそ現代において、ものすごく贅沢なことなのでは、と思う。
産地直売所でよく、野菜や漬物などに、○町の○○さんが、何日の何時に収穫したか、あるいは出荷したかを明記したシールが張られている。消費者側から見れば、購入時のめやすにもなる。スーパーに並ぶ魚や肉、卵、加工食品にも、履歴書が付いていれば、と思うことがある。
究極のグルメブームも行きつくところまで行ったという気がするし、今消費者が望んでいるのは、氏素性の明確な食べ物を口にしたいということではないだろうか。
(終)