vol.13
「都市伝説」
その2
そのことがあって少ししてから、たまたま「都市の穴」(双葉社 木原浩勝・市ヶ谷ハジメ・岡島正晃著)という本を読んだ。
これは、誰もが一度は聞いたことがあるけど、真偽のほどはわからないというような、いわゆる都市伝説を集めた本である。
たとえば、「東京ディズニーランドには、一般客にはわからない扉があって、そこは巨大な地下道に続き、スタッフが迅速に移動するために利用している」「病院では死体を洗うバイトがあるらしい」「口裂け女2001」などといった話である。
東京で雑誌の仕事をしていた頃、海外に出張する女性編集者の間では、「洋服屋の試着室には要注意」という暗黙の了解があった。
ある編集者の知り合いのそのまた友人が、ハネムーンで中国に行った時のこと。何分たっても試着室から出てこない妻を不信に思った夫が、店の人に尋ねたところ、「今日は、試着室には誰も入っていない」の一点張り。「そんなはずはないだろう」と、カーテンを開けると、試着室はモヌケのカラ。後日、試着室には秘密のドアがあり、妻は闇の組織にさらわれたことが発覚したと言う。
それを聞いた当時の私は、恐ろしさで震え上がったものだが、その本を読んだら、同じような話が載っていた。となれば、あれも一種の都市伝説に過ぎなかったのかも知れない。
こうした話に共通しているのは、「兄の友人が話していた」とか、「親戚が知り合いから聞いた話だけど」というふうに、体験者と語り手が、きわめて間接的な関係にあることだろう。
語り手=体験者であるケースは、まず聞いたことがない。
それともう一つは、「もし、こうだったら怖いな」、「ああだったら面白いのに」というふうに、人々が心の隅に抱く恐怖や願望の「ツボ」に程よくはまっていることだ。そのことで、より真実味が増し、一種のコニュニケーションツールとして、伝播力をもつのではないかと思う。
ところで、「津軽版都市伝説」なんてのも、かなり存在するらしい。あなたが、知っている都市伝説はどんな話ですか?
(終)