vol.16
「金太郎飴の街」
その1

亀屋みなみチェーンの破綻で、地区住民の買い物事情にも大きな影響が出ているという。 他の会社に経営が移って営業を再開した店は別として、未だ先行きの見通しが立たずに閉店中の地区では、住民が日々の買い物に難儀している。 先日も、青森市郊外にある戸山団地の報道を見て、胸が締めつけられそうになった。
転勤族の我が家は、弘前に引っ越す前の八年間を、戸山団地の県営住宅で過ごした。娘は、生後二ヶ月から小学二年生まで、そこで育った。亀屋は、団地の住民が、唯一徒歩で出かけられる距離にあるスーパーである。そのため、私のように、日中車がない主婦、また免許のない人などは、必然的にそこで買い物した。店が休みの日は、背中に赤ん坊をくくりつけ、バスで跨線橋一つ越えた所にあるスーパーまで出かけた。巨大児だった娘は、寝るとさらに重くなって、まるで漬け物石である。そんな時に限って、大根や牛乳など、持ち重りのするものが安い。帰りの荷物の量を想像すれば、見なかったことにして棚を通り過ぎたいのだが、悲しいかな、主婦の習い性がそれを許さない。 かくして私は、背中に漬け物石、肩にオムツの入ったママさんバッグ、両手に買い物袋を下げ、暖房で上気した、なまはげのような形相でバスに揺られた。
バス停で四十分も待ったというおばあちゃんが、ため息混じりに漏らす。「あー、こいじゃ、こいじゃ。わげものダバ、車使うけど、年寄りは、買い物も命がけだ」。
(その2へ続く)


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