vol.16
「金太郎飴の街」
その2
今回の戸山の件でも、一番困っているのはきっと車のない高齢者の方たちだろう。足腰の弱ったお年寄りにとって、ライフラインが断たれることは、どれほどの恐怖だろうか。
ここ数年、取材でいろんな場所を訪ねても、中央資本の大型店やディスカウントショップが並び、一瞬「あれ、今どこの市にいるんだっけ?」と混乱する。まるで、切っても切っても同じ顔が現れる、金太郎飴である。
車社会に適応した街づくりは、一見時代のニーズに合っているように思えるが、そこから漏れこぼれる者の存在をどうやったら掬い上げられるのだろう。私は、産業経済の仕組みにおいても、街づくりの分野においてもド素人だが、一生活者として「こりゃ、何かが違うぞ」という危惧感が拭えない。これからは、昔の「ご用聞き」のようなシステムが見直されてくるのでは?と、密かに思ったりしている。
津軽に住み、津軽で仕事をしている以上、地域の活性化は自分の幸せにもつながる。どうせなら、なるべく地元にお金が落ちるよう、考えて買い物や食事をしているつもりであるが、さしたる購買力もない私の財布では、あまり貢献しているとは言えないだろうな。
先日も、酒屋だった店がいつの間にかコンビニになっていた。
いつも「まいどー」と威勢の良かったおじさんが、やたら派手なチェーン店名入りのエプロンをつけて、居心地悪そうに立っていた。
配達で鍛えた自慢の腕力も、豊富なお酒の知識も活かす出番を無くしたおじさんは、まるで自分のアイデンティティさえ、もぎとられたように、最近めっきり無口になった。
(終)