vol.22
「理数系のオトコと煙突の話」
その2
ところで、この4月から完全実施された新学習指導要領では、円周率を「3.14」ではなく、「約3」として計算しても良いとか。
これに対し、先日トタン屋さんのKさんが困惑顔で言っていた。「煙突の周りの長さ出す時は、3.14でネバ、マイネんだ。そうさねば、全部狂ってくるもの」。失礼ながら、70近いKさんの口から円周率の話が出た時は驚いた。職人さんと言えば、何となく自分の勘どころに頼って仕事をしているようなイメージがあったのだが、むしろ職人さんこそ基本のポイントに忠実なのだと思った。
以前、弘前市内に住む職人さんの取材で何人かの方にお会いした時も、似たようなことを言っていたっけ。基本をしっかりふまえたうえで、長年の経験から体得した独自の勘を照らし合わせてこそ、初めて技がいきてくるのかも知れない。
話は変わるが、夫・ケンヂ氏と結婚する前、ある店で2人でお酒を飲んでいた時のこと。共通の知人であるAさんと、ケンヂ氏の性格が似ていると思った私は、それを伝えた。すると、ケンヂ氏はAさんと自分の思考法の決定的な違いを、演繹法と帰納法を使って端的に説明したのだ。
九九も怪しい私には、演繹法なんてスワヒリ語と同じくらい理解しがたいものであったが、この話になぜかクラッときた。
それを友人に話したら、「はあ?口説き文句にクラッとくるならわかるけどサ、アンタって本当に変わってるよね」と、冷たくあしらわれた。
(終)