vol.2
「ねぶたの涙」
その2

女子寮の二段ベッドで、雑誌作りの夢を語り合った日から、二年が経ち、みんながそれぞれの道を歩み始めていた。みんなの成長がまぶしくもあり、うらやましくもあった。でも、こうして青森まで会いに来てくれて、本当にうれしい・・・。頭のなかではいろんな感情がごちゃごちゃだ。 突然、お囃子に混じって、「いつでも戻ってこい!」と、N氏が叫んだ。グループのなかでは最年長で、「おじいちゃん」と呼ばれていた彼。「待ってるから!」、「私の仕事、少し手伝ってよ」。跳ねながら、口々にみんなが言う。「うん、サンキュ」と笑ったら、堰を切ったように涙があふれた。ねぶたが遠くににじんで光っている。まるで、熱にうなされてみる極彩色の夢のよう。ねぶたが泣いているみたいに見えた。 あれから、二十年近い歳月が流れたが、後にも先にも、私はあんなにせつないねぶたを体験したことはない。 結局その後、私は母を説得し再び東京へ戻り、数年後に最終的に地元に帰ってきた。迷い、悩み、紆余曲折を経て、遠回りをしたが、自分としては、この時点で、腹をくくったつもりでいる。 たくさんの人のいろんな思いを昇華させ、今年のねぶたもついに終わり。あなたのねぶたの思い出は、甘いですか?それとも、ほろ苦いですか?
(終)


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