vol.5
「お月さん、まんまる(上編)」
その2
娘と私は、露天風呂へ。空を見上げると、十五夜のお月様。手をのばせば触ることができそうな、大きな月だ。「お月さん、まんまるだねえ」。そう言って、娘と肩を並べて金色に輝く月を見ていたら、泣きたいような、しーんとした気持ちになった。
翌日は、秋田県の田沢湖周辺をドライブ。八幡平アスピーテラインで八幡平山頂方面へ向うと、非常に混雑した駐車場が見えてきた。アトピーやガンが完治する温泉として、幾度となくテレビで放映された「玉川温泉」である。
聞くところによると、全国から詰めかけるお客で宿舎は常に満杯で、なかには車やテントに寝泊まりしながら湯治する人が後を絶たないのだとか。駐車場の車のナンバーを見ると、半数以上が東北以外から来ていることがわかる。車を降り、温泉に向かうと、強い硫黄の匂いと共に、これまで見たこともないような光景が目に飛び込んできて、私たちはその場に立ちすくんでしまった。
(続く)