vol.20
お犬様が通る
その2

時代と共に、ペットと人間の関係も変わるものなのだろうか。 子どもの頃、祖母の家にチビという中型の雑種犬がいた。昔の飼い犬がたいていそうであったように、庭の片隅の犬小屋につながれ、古いアルミの鍋で魚の骨や残飯を食べていた。散歩に連れて行ってもらうと嬉しそうにし、自分の分をわきまえているかのように、いつも人間には従順だった。 年老いて死期が近づいたと知った時、チビは可愛がってもらった近所の親戚の家に突然現れた。翌日は、私の従兄弟が肺炎で入院していた病院にも現れている。「チビだ、チビがあそこにいる!」当時3才くらいだった従兄弟は、病室の窓の外からじっとこちらを見ているチビに気づいて叫んだ。窓を開けて、チビの姿を確認した叔父や叔母も驚いた。どうやって鎖をはずしたのか、なぜ入院先の病院がわかったのか不思議だが、その数日後チビは死んだ。 チビが最後のお別れで言いたかったことは何だったのだろう。今でも、小さい頃のアルバムをめくると、どの写真にも控えめに人に寄り添いながら、家族にとけこむようにたたずむチビの姿がある。そして、人間とペットとの関係を考える時、いつもチビのことが頭に浮かんでくるのだ。                
(終)


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