vol.23
仕掛け花火
その1
「冷たい夏」と言われて日が経つが、7月下旬になっても、いっこうに暑くならない。例年であれば、スイカにアイス、海水浴、キャンプと、夏の風物詩オンパレードの時期なのだが、とてもそんな気分になれない。涼しさを通り越して、とにかく寒いのだ。
取材先のおばあちゃんが言った。「今でも朝晩はストーブ離せねんでサネ。今年マンダ、どした年だばのー」。おじいちゃんも言った。「セミもながねね、アフェ(汗)もかがね夏ァ、あど(後)からオッカネどー」。
本当にそうである。農作物の生育が心配なのはもちろん、あと1週間もすればねぷたが始まるというのに、何となくお祭り気分が盛り上がらない。
ところで、私の個人的な夏のお楽しみベスト1は、花火である。
子どもの時、黒石の浅瀬石川の川原で打ち上げられる花火大会の前後に、近所に住む従兄弟たちが泊まりがけで遊びに来た。観賞場所は、我が家の屋根の上。サザエさんに出てくるワカメちゃんのようなヘアスタイルの女の子たちと、刈り上げの男の子たち5、6人で、ごろんと屋根に寝転ぶ。今ほど、住宅も建て込んでいなくて、視界を遮る高い建物もない時代のこと。夜空はパノラマのように丸ごと子どもたちの頭上にあった。
子どもたちにとってもう一つの楽しみは、その日私の父が用意してくれるさまざまな仕掛けである。父は、子どもたちが喜びそうなことをあれこれ計画するのが何より好きだった。
(その2へ続く)