vol.25
冷夏の楽しみ方
その2

車道からは建物が見えないので、今までここを通っても気づかなかったのだが、まさに隠れ宿といった感じの雰囲気のある佇まいだ。 「おっ、ここ温泉ですよ。すっげー雰囲気イイッスね」とカメラマン氏。すると、宿の方から20代のカップルが仲良く腕を組んでこっちに歩いてきた。私たち一行は、指をくわえてヨダレをたらしながらその姿を見送った。 「いわなの村」でお昼をとりながら、宿の話題になった。「ねえ、さっきさぁ、カップルとすれ違う時、私たち全員の頭の上にモヤモヤといろんな想像飛び交ったよね」と私が言うと、「本当ッスよ。うらやましいなァ〜。でも、宿の場所しっかりチェックしたんで、今度行ってみますよ」、「一泊いくらくらいですかね?」と、仕事そっちのけでみんな温泉宿の話で盛り上がる。 ブナの原生林に囲まれた温泉宿。携帯の電波さえ届かない隠れ宿で、日常を忘れて過ごす濃密なひととき・・・。おお!冷夏には、こんな密やかな楽しみがあったのか。今年の夏をリセットしに、私も出かけるぞ!
(終)


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