vol.27
サルぼり隊は、今日も行く
その2
サルぼり隊への興味が絶頂に達していた私は、すぐさま村役場に電話し、資料を送ってほしいと頼んだ。それによると、参加日数は最低5日以上。宿泊場所は、旧保育所を無料で利用でき、村内4箇所の温泉も入り放題。
(待遇)という箇所に書かれていた「米・調味料・洗剤等は支給しますが、他の食材や食事代は参加者負担となります」という一文もローカルっぽくていい。どことなく湯治を思わせる雰囲気に気持ちが和む。
巡回の移動手段には自転車を利用するらしく、「自転車に乗れない人は、あらかじめ申し出てください」と、書かれているのもほのぼのしているではないか。「保育所に泊まるのはちょっと」という人は、温泉などの有料施設に3食付き3,675円で宿泊することも可能だという。
都市部に住む人たちにとっては、グリーンツーリズムの一環として、田舎暮らしを体験できるのが好評らしい。日頃はバリバリの企業戦士が、追い払い用のロケット花火片手に「うっほうっほ」と、野山を走り回っている姿を想像しただけで楽しくなってくる。
最初は、村でもプロに有害駆除を依託していたというが、「殺すのは間違っている。共存できる方法を考えよう」ということで、行き着いたこのアイデア。高齢化が進んだ農家にとっては死活問題となる深刻な被害も、ユーモア精神を忘れずに楽しく取り組もうとする姿勢に好感がもてる。
それにしても、冒頭の学習館にあるような人と山が共存していた時代は、人とサルもきっと今よりずっといい関係で暮らしていたんだろうな・・。日ごとに色づき始めた山を見上げながら、人の営みと野生生物の関係などという、珍しく高尚なテーマについて考える秋の昼下がりである。
(終)