vol.35
あふれた水がめ
その2

日本人は、「頑張って」という言葉が好きだ。頑張ることは美徳とされ、自分にも他人に対しても「頑張ります」とか、「頑張りましょう」とか「頑張って下さい」という言葉をよく口にする。テレビを観ていても、スポーツ中継などは「頑張れ、頑張れ」のオンパレードである。 だが、これまで頑張りすぎたがために、疲れてうずくまっている人にとって、これほど無神経で残酷な言葉はないように思うのだ。 戦後のガンバリズムの風潮が日本の高度成長を支えてきた。だが、その結果、頑張らない人は怠け者とされ、過労死をはじめ、心の病を抱える人が増大する社会をつくってきた。人々の心の水がめはすでに満杯になり、今にもあふれそうになっているところへ、何かのきっかけが引き金になってザブンと流れ出てしまう。 アロマやペットブームを始めとした癒し系の流行も、そうしたものに救いを求める人の需要が多いことのあらわれであろう。 「頑張り過ぎない」。今年は、これをテーマに生きてみるのもいいかな、と思っている次第である。
(終)


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