vol.37
ご案内
その1
常日頃、疑問に思っていることのひとつに、子どもの誕生・入学といった人生の節目ごとに、全く知らない会社から「ご案内」なるものが届くのはなぜか?ということである。
娘が産まれた時、「○○ちゃんのご誕生、おめでとうございます」というメッセージと共に、各種保険会社の勧誘から、お宮参りの着物、ベビー用品関係の「ご案内」がたくさん舞い込んだ。これらの会社は、なぜ我が家に赤ん坊が産まれたことを知っているのだろうか、どうやって名前を調べたのだろうか、と何とも腑に落ちなかった。
ある時、「○○ちゃん(娘の名前)のことで、ちょっとお話がありまして」と、誰かが訪ねてきた。ご近所の誰かだろうかと思いドアを開けると、泉ピン子似のオバチャンが満面の笑みをたたえている。
「あらぁ、○○ちゃんでちゅか。まあまあ、可愛いお嬢ちゃんでちゅねぇ」
両手に巨大な紙袋を抱えているにもかかわらず、わずかなドアのすき間からスルリと玄関に入ってきた。見事な技である。特殊な訓練法でも身につけているのか、はたまた、狭い場所を通る時は、猫のように関節をはずせる特技でもあるのだろうか。
ピン子は、子どもの早期教育教材のセールスだった。
「やっぱり、初めてのお子さんは可愛いものでしょう」(名前ばかりか、なぜに第一子であることまで知っているのか!)
「ほらほら、○○ちゃん、これ見て。可愛いでしょう。あらぁ、そうなの。欲しいの?そうよね、欲しいわよねぇ。お母さん、○○ちゃんが欲しいんですって」(0歳児が、欲しいとでも言ったのか!!そんな天才なら、お宅の教材は必要ないじゃんよ)
「このビデオと、あれと、さらにこれが付いて30万円は、ぜえっったいにお買い時よ!お母さん。それにご近所では、すでに○○君も、○○ちゃんも購入したのよ」と言って、購入者の名簿まで公開し始めた。ご丁寧に、契約者の子どもの顔写真まで貼り付けている。
競争心をあおって、購入させようとする作戦が見え見えである。
当時住んでいた場所は、棟が32号棟まであるマンモス団地。この手のセールスの多さには辟易させられた。
(その2へ続く)