vol.38
地場のヒット商品
その2
ある地域からは、上新粉を使ったパンが出品された。地元の米「ゆめあかり」を上新粉にし、それを原料にして手作りしたパンであり、もちもちした食感が特徴だという。だが、残念なことに、パッケージを見るとそうした情報が1つも入っていない。せっかくこだわって手作りしたのに、消費者にアピールする言葉がなく、スーパーで売られている大量生産のパンと見分けがつかないのが残念だ。さらに、製造後急速冷凍し食べる直前に自然解凍するとなれば、冷凍食品の扱いになるため、その旨表記する義務があるというのだ。
また、ある団体がパッケージで謳っていた「有機栽培」という表示も問題で、きちんと認証された場合以外は、使用が認められていないのだという。
さらに、原材料に卵などのアレルゲンとなるものを使用している場合は、表示しなければ違法になるという。つまり、これらの団体に限らず、初めて商品開発を手がける場合は、違法とは知らずに法に触れる行為をしてしまう可能性があるということだ。商品をデビューさせる前に、今1度確認する必要性を感じた。
りんご処からは、「りんご大福」が出品された。昨年秋、収穫直前のりんごがヒョウ被害に遭い、それをりんご餡にすることを思いついたと言う。ほんのり淡いさくら色の皮と、甘さを抑えた餡の調和が素晴らしいし、味もおいしいと、アドバイザーからたくさん声があがった。ある大手流通会社のアドバイザーによると、今、いちご大福は、どこの店でも1週間に500〜600個は売れる人気商品だと言う。「形状もよく似ており、味もおいしく、値段も100円と手頃なこの商品は、人気が出るかも知れませんよ」ということだった。
それにしても、全体を通して共通して感じたのは、出品者達の素朴で飾らない説明の仕方だった。生き馬の目を抜くような都会では、3分間という持ち時間をいかに効率よく使いアピールするかに、しのぎを削るのだろう。だが、こうした実直で手垢にまみれていない謙虚な気質も、魅力のひとつなのではないか。ローカルなことがブランドになる時代、こうした素朴さがかえって人気を呼ぶかも?なんてことを考えさせられた。
(終)